日本はもはや後進国であると認める勇気を持とう
「日本は AI 後進国」「衰退産業にしがみついている」「戦略は先輩が作ったものの焼き直しばかり」。
これは、ソフトバンクグループの孫正義社長の言葉です。最初この言葉を聞いたときは、 えー!何言ってるの?とちょっと違和感を覚えた人もいいのではないでしょうか?
何しろ私たちは日本は先進国だというふうに聞いて育ってきたのですから。
まぁ、これは孫社長がキャッチーな表現として「後進国」と表現したと思いますが、これを「先進成熟国」というふうにしたら何となくしっくりとくるのではないでしょうか。
20代の若い世代は、生まれ育ってからの日本は、“失われた 30 年”のど真ん中を過ごして きた訳で世界をけん引する日本なんてイメージは全くないでしょう。私の子供のころは日 本は常に No1 で世界中どこに行っても日本人旅行者を見かけない都市はないなんてことを よく聞いたものです。しかし、それも今は昔。。。
激安天国日本。ディズニーに行くなら日本が断然お得!!
最近、日経新聞に「安いニッポン」という記事が連載されました。これによると世界6都市 で展開するディズニーランドの入場券は日本が最安で米カリフォルニア州の約半額程度な んだそうです。つまりディズニーに行くなら日本が断然お得!!
以下に各都市の入場料を 記載します。
100均のダイソーでもタイ・バンコクの店頭価格は円換算すると200円を超えるのだそうです。タイの方が高いのです!
この傾向は最近身近になってきたサブスクリプションでも見られ、例えばアマゾンプライ ムはアメリカでは約 12,900円で日本は 4,900円と断然お得!(以上「安いニッポン (上)」)
北海道ニセコ地域はスキーリゾートへのインバウンドの増加で地価高騰が止まらず、地価 上昇率は4年連続全国トップ。それでもグローバルではまだ割安でスキーリゾート地での 1平方メートルの住宅価格は世界で31位、首位のフランス・クーシュベルより6割以上安い。
企業も例外ではなく海外ファンドの買収が目立つ(以上「安いニッポン(中)」)
日本はかつて憧れの出稼ぎ先であったが、現在は違う。2007年から 17 年の各国の報酬を分 析すると、システム開発マネジャーの場合、07 年を 100 とすると 17 年の日本は 99、ベト ナムは 145、中国の上海は 176、タイは 210 に達した。先進国でもアメリカは 119、ドイツ は 107 に増加している。もはや日本はエンジニアの世界では安い人材の国として世界で人気となっている。米住宅都市開発省の調査ではサンフランシスコで年収1400 万円の4人家 族を「低所得者」に分類。厚生労働省によると日本の 17 年の世帯年収の平均は 550 万円、 1千万円を超える世帯は 10%強に過ぎない。(以上「安いニッポン(下)」)
このような記事を読んでみて皆さんはどう思いましたか?世界から日本を見てみるとまた 違た形で見えてきたのではないでしょうか。豊かな国ニッポンではなく世界から見れば“おいしい国ニッポン”なんです。このような現実を見るにつけ、IT の世界で生きている孫社長 だからタイトルのような言葉が出てくるのも理解できる気がします。
じゃ、成長する海外で生活すればよいのではないかと考えたあなた。本当にそんなことでき ますか?文化も言葉も違う国で今までのような生活を継続することなんてまず無理でしょ
う。多くの人は必然的に日本で暮らさざるを得ない環境にあるのではないでしょうか。
今後日本は高齢社会の中での人口減少を迎え、このままでは成長どころか、どんどん諸外国 との経済格差が広がっていくのではないかと危惧されます。そのような経済下で資産運用によってどのようにして経済の成長を獲得していけばよいのでしょうか。資産運用の世界 では成長する分野、国に投資を行うということは基本中の基本です。投資信託のメリットの 1つである手軽に海外に分散投資をすることができるという特徴を利用すれば、日本にい ながら今後成長する海外に投資することだってできるのです。投資の基本は長期・分散・積 立と基本方針で書いていますが、分散も細かく見ていくと資産の分散のほか、投資対象国の 分散も重要だということがこの記事からも読み取れるのではないでしょうか。積立も言い 方を変えれば購入タイミングを分散するといった時間分散であり、資産運用の世界では分 散するということが非常に重要になってきます。
我が国の成長に失望する必要はありませんが、もはや日本は世界をけん引するとまでいか なくても先進成熟国になっているということを十分に踏まえて日本の企業だから安心とい うことではなく、広く世界に目を向けて将来の資産作りを検討する必要があると思います。