投資信託の分配金って何?(その1)
ズバリ!!なるべく分配金の少ない投資信託を購入せよ!
今回は投資信託の分配金についてお話していきたいと思います。よく、この投資信託は分配金がたくさん出るからよい投資信託だ!なんて勘違いしている人もいますが、そもそも投 資信託の分配金ってなんなんでしょうか?
分配金の仕組み
まず、投資先金融資産の代表である株式や債券について考えてみましょう。例えば今あなたが株式に投資しているとします。投資している株式から期待できる収益として1配当金、2株式の値上がりによる売買益の2つが挙げられます。債券についても同様に1毎期の利子、 2債券価格の値上がりによる売買益があります。1をインカムゲイン、2をキャピタルゲイ ンと呼んで言います。インカムゲインについては確度が高く得られるのに対しキャピタルゲインについて はその時のマーケットの状況により大きく変化し、場合によっては得られないこともあることに注意しておくことが必要です。 分配金は、このインカムゲイン、キャピタルゲインのほか、これらを過去から繰り越してきた原資を対象として支払うことになります。(受益者ごとの購入価額などを考慮した場合、元本払戻金(特別分配金)となる場合もありますが、とりあえずこの場では説明は省略します。)
なお、いくら支払うかはファンドの決算日に分配方針に基づき運用会社が毎回決定してい ます。しかし、この「分配方針」ですが、大体どのファンドも同様の記載となっており、具体的な方針は目論見書を見てもよくわかりません。
「東京海上・円資産バランスファンドの目論見書 (毎月決算型)」
「東京海上・円資産バランスファンドの目論見書 (1年決算型)」
「スマート・ファイブの目論見書(毎月決算型・1年決算型)」
「ひふみプラスの目論見書」
いくら出るのかよくわかりませんね。したがって、感覚的に理解するためには月報(マンスリーレポート)を見るのがよいと思います。
「東京海上・円資産バランスファンド(毎月決算型)の月報 」
「東京海上・円資産バランスファンド(1年決算型)の月報 」
「スマート・ファイブ(毎月決算型)の月報」
「スマート・ファイブ(毎月決算型)の月報」
「ひふみプラスの運用報告書」
こうして見ていくと東京海上・円資産バランスファンド(毎月決算型)が毎期30円、スマート・ファイブ(毎月決算型) が毎期40円を安定的にこれまでも分配金として出してきているので今後もこの傾向は持続すると考えられます。一方で、東京海上・円資産バランスファンド(1年決算型)、スマート・ファイブ(1年決算型)やひふみプラスについては、これまでも分配金は出しておらず今後もこの傾向は続くものと考えられます。
ではスマートファイブ(毎月決算型)が最も良いファンドなのか?
先ほどの分配金を見る限りではスマート・ファイブ(毎月決算型)が毎期 40円の最も高い分配金を出しているので最も良いファンドであるかのように見えますが決してそんなことはありません。まず、東京海上・円資産バランスファンド(1年決算型)、スマート・ファイブ(1年決算型)やひふみプラスについてはこれまでも分配金を出してきていませんが、ひふみプラスなんかは分配方針にあえ て「収益の分配にあてず信託財産内に留保した利益については、運用の基本方針に基づき運 用を行ないます。」と記載しているように、このファンドのコンセプトとして分配せず内部留保して再運用することにより複利的な効果を期待しるというコンセプトであることが伺えます。
何より重要なことは分配金とはあなたに代わって運用会社が勝手に一部解約しているのに過ぎないということです。
分配金は天から降ってくるものではないのです。債券の利子や、売買により得られた利益もす べて資産の中に含まれており、これら利益を含めて基準価額が算定されています。分配金を払った後はその分資産が減ることとなるので、当然基準価額は下がります。自身で一部解約する場合と違うのは、自身で一部解約した場合は基準価額ではなく口数がその分減るとい うことです。しかし、資産総額は「基準価額×口数」で決まるので結果的には分配金を 自分自身で一部解約したとしても総資産は基本的に変わることはありません。
では、分配金なんてもらわない方がいいの?
この問題を考える前になぜ分配金をもらう必要があるのか考えてみてください。分配金の 使い道は人それぞれ違ってくると思いますが、いずれにせよ現金化して何かのために消費することが目的となるのではないでしょうか?仮にそうだとすると、人によりまたは月により必要となる金額は異なってくると思います。5万円必要な月に8万円分配金として受け入れても3万円は運用されずにそのまま現金として残ってしまいます。このような無駄を避けるためには本 来それぞれの人が必要な金額分だけ一部解約することがもっとも効率的なはずです。先ほど書いたように運用会社に勝手に一部解約されるくらいなら自分で必要額を一部解約した方がいいに決まっています。ましてや分配金を再投資に向けた場合、普通分配金の場合、税金を差し引かれた後の額しか再投資に回されないので投資効率が落ちることとなります。
分配金をめぐるさまざまな誤解
「分配金」は言葉からイメージされるように各人に平等に配られる=もらうことができると勘違いしがちですが、こういった言葉に惑わされることなく、しっかりと理解しておくことが肝心です。よく、「次回の分配金をもらうためには今日購入すれば間に合います か?」という質問をする人がいますが、分配金をもらいたいがために購入を急ぐことは明らかに損をする行為です!先ほどのとおり分配金は自分の財産を取り崩しているにすぎませんから購入してすぐに分配金をもらうということは、つまりほとんど運用する期間なく分配金として払い戻されていることになります。購入時手数料がかかるファンドであれば、わざわざ手数料を払いながらも運用されることなく払い戻されることになります。これって 明らかに損でしょ?
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